気まずいビジネスシーンをスカっと“換気”する話し方 Vol.3<言い換えるテクニック>

気まずいビジネスシーンをスカっと“換気”する話し方 Vol.3<言い換えるテクニック>

現代のビジネスパーソンにとって、コミュニケーション力は「生き抜くための武器」。その切れ味が試されるのが「気まずい瞬間」です。

謝る、断る、会話が盛り上がらない…。気が重くなるシチュエーションこそ腕の見せどころ。ポジティブなコミュニケーションのコツをまとめた著書が人気の放送作家・PRコンサルタントの野呂エイシロウさんに、どんよりした空気をスカっと“換気”し、その後の仕事をスムーズに進めるポイントを聞く、最終回。何事も自分事に置き換えることで、“個の時代”を生き抜く力を身につけましょう。

野呂さんプロフィール

  • 野呂さんプロフィール
    放送作家・戦略的PRコンサルタント。1967年愛知県生まれ。雑誌編集者を経て「天才・たけしの元気が出るテレビ」で放送作家デビュー。「特命リサーチ200X」「鉄腕! DA SH!!」「奇跡体験アンビリバボー」などの構成を務める。30歳の時から戦略的PRコンサルタント業を開始。現在までに、マッチ・ドットコム、ギルト・グループ、GROUPON、Expedia、ビズリーチ、ライフネット生命、ソフトバンクモバイルなど150社以上の広報戦略に携わる。『話の面白い人の法則』(アスコム)など多数のビジネス書を出版。

ポストが赤いのは、誰のせい?

ポストが赤いのは、誰のせい?

野呂さんは以前、お世話になっていた方に、こんなことを言われたことがあるそうです。

「ポストが赤いことすら、自分のせいだと思え」

表面的にはとても理不尽に聞こえますが、野呂さんにとっては深い意味を持つ言葉だといいます。「たとえ自分に責任のないことでも、自分の周りに起きたことはなんでも自分のせいだと思って向き合え、というアドバイスなんです。特にこの言葉が効いてくるのが、謝罪する時や、申し出を断る時。マイナスの印象を与える話は、つい自分以外の“何か”や“誰か”のせいにして伝えがちです。でもそれは、一番よくない。言い訳にしか聞こえませんから」

責任がなくても「私に非がある」と言い換える

責任がなくても「私に非がある」と言い換える

たとえば、「取引先からビジネスの提案を受け、上司に報告したが、却下された」というシチュエーションを考えてみましょう。

「申し訳ありません。私は推したのですが、上司がどうしてもOKをくれなくて…」

そんなふうに言いたくなりますよね。しかし野呂さん曰く「この言い方はダメ」。「僕がそう言われたら、『あなたの説得力が足りなかったからじゃない?』と思ってしまいます。さらに、『提案が上司の考えとズレていた=取引先側に非がある』と取られてしまう可能性も」。取引先との関係をこの先も良好に保つには、避けたい表現だと言います。

では、どんな伝え方をすればいいのでしょう。野呂さん流の伝え方は、自分が責任を感じていることを示すこんな表現です。

「私のコミュニケーション力不足で、上司を説得できませんでした」

「私の力不足で、上司が何を求めているのかを、貴社にきちんと伝えきれておりませんでした」

「たとえ自分には責任がないと思っても、自分に非があるように言い換えます。プライドや防衛本能が邪魔をするかもしれませんが、それでも自分のせいだと頭を下げる。そう言われれば、提案を断られた取引先も『いや、そんなことないですよ。また何か考えましょう』と、未来の話をしやすいと思うんです」(野呂さん)

第2回で紹介した「自分の立場を下に置いて相手を立てる」態度も、この場面で空気を換えることに役立ちます。自分たちの提案の出来が良くなかったからではなく、相手側に責任があったのだと思えば、取引先の担当者は気が楽ですよね。そしてこの「自分に非があるように言い換える」テクニックは、ほかのシチュエーションでも効果を発揮します。たとえば、気まずい思いをしがちな他人の陰口への対処もそのひとつ。陰口が始まると、野呂さんは、

「え、そうですか? 僕、鈍感だから全然気がつきませんでした」

とかわすのだそう。「そうですね」とも「そんなことないですよ」とも言いにくい誰かの陰口も、自分に「鈍感」という非があることにしてスルーする。これもひとつのコミュニケーションの技と言えます。

すべての出来事を「自分事」にする

すべての出来事を「自分事」にする

自分では変えられないことも、自分に責任があると思う。それは一見、理不尽なようですが、身の周りの出来事をすべて「自分事」にする、という考え方に繋がります。

野呂さんは、「仕事でトラブルが起きた時に、会社や上司のせいにしたくなるのは、“御社と弊社、つまり組織と組織の取引”としか思っていないから。自分と、先方の担当者の“個と個の付き合い”だと考えて、どうこの関係を続けていくかに集中すれば、他人のせいにはできなくなるはずです。組織と個人はイコールではないのです」と話します。

以前、Aというテレビ局に番組の企画を提案した際、残念ながら採用されなかったという野呂さん。でもそこで、A局の担当者が「うちの局では難しかったけど、B局なら絶対に面白がってくれる」と、別のテレビ局の担当者を紹介してくれたのだそう。「その後、実際にB局で番組になりました。A局の担当者は『野呂の企画が実現して、俺も嬉しいよ』と言ってくれた。そういうことは、よくあるんですよ」

A局の担当者は、企画が通らない理由を上司や会社のせいにもできた場面ですが、そうしなかったのは、「野呂さんの企画を実現させること」を自分事として考えていたからでしょう。

「SNSが社会に浸透した現代は、個人の名前で勝負する時代。人間は弱いから、都合の悪いことは人のせいにしたくなりますが、“個の時代”で生き残っていくためには、どんなことも自分事として考える力が欠かせないと思います」。野呂さんは、そう力強く話してくれました。

コミュニケーション力は現代を生き抜く武器

コミュニケーション力は現代を生き抜く武器

「人生には何が起きるか分かりません。だから僕は基本的に人に好かれたい。好かれて、何かあった時、周りに『助けてあげよう』と思われた方がいい」と笑う、野呂さん。

「現代におけるコミュニケーションは、生きていくための武器なんです。昔の剣術や弓矢みたいなもの。真剣にやらないと、生き残れませんよ」

ミスをして謝罪しなければならない時や、相手の申し出を断る時。重苦しい空気に気後れして、次の言葉を発する勇気が出ない…。そんな時にこそ、コミュニケーション力の “切れ味”が試されます。ポストが赤いことすら自分のせいだと思えるぐらい、何事も自分事として捉え、場の空気を換える態度や話し方を身につける。野呂さん流のコミュニケーション術は、気まずいシチュエーションはもちろん、個の力が求められるこれからの時代で道を切り開いていく時にも、頼もしい武器になってくれるはずです。


編集:株式会社エアリーライム ライター:丸山こずえ

FEEDBACK 評価 / コメントする

PICK UP KEYWORD 注目キーワード

Magサイトで注目されているキーワードをご紹介します。

CATEGORY カテゴリ

  • CONDITION

    脳のコンディションをサポートする
    情報を掲載。

    一覧へ
  • FOOD

    健康的な食習慣に関する
    情報を掲載。

    一覧へ
  • FITNESS

    健康のための体づくりに関する
    情報を掲載。

    一覧へ
  • LIFE

    自分や身近な人の
    脳の健康ケアについて掲載。

    一覧へ
  • BRAIN PERFORMANCE

    脳のパフォーマンスを有効活用する
    情報を掲載。

    一覧へ
  • COLUMN

    脳の健康に関する特集を掲載。

    一覧へ

Easiit Mag利用規約

はじめに

エーザイ株式会社(以下、「当社」といいます)がEasiit IDを登録した会員(以下、「会員」といいます)向けに運営する、認知症を含むヘルスケア(運動、食事、睡眠など)等に関するコンテンツを提供するサービスEasiit Mag(以下、「当サービス」といいます)のご利用に当たっては、以下の注意事項を熟読いただき、この利用規約(以下、「当規約」といいます)に同意された場合にのみご利用ください。同意いただけない場合には、誠に申し訳ございませんがご利用をお控え下さい。なお、当サービスをご利用いただいた場合には、下記内容に同意いただいたものとさせていただきます。また、当規約については、当社の判断により変更する場合があります。当規約の変更後に会員が当サービスを利用した場合、当該会員は変更後の規約の内容に同意したものとします。

サービス内容

当サービスは、認知症を含むヘルスケア(運動、食事、睡眠など)等に関するニュース、レシピなどのコンテンツが読める会員向けサービスです。 Easiit IDを利用して、当サービスにログインすることにより、利用者は記事にコメント投稿、評価を行うことができます。

禁止行為

会員は本サービスを利用するにあたり、以下の各号に規定する行為・投稿をしてはならないものとします。

  • 犯罪行為に結びつく、もしくは助長する内容
  • 法令に反する内容
  • 営利宣伝目的を含む内容
  • 特定の政治的または宗教的主張を含む内容
  • 根拠なく当社または第三者の評判を毀損しまたは信用不安を引き起こすおそれのある内容
  • 当社または第三者の著作権、名誉、プライバシーその他の権利を侵害しまたはそのおそれのある内容
  • 差別的表現を含む内容
  • 低俗、有害、下品その他他人に嫌悪感を与える内容
  • 有害なプログラム、スクリプト等を書き込む行為
  • その他当社が不適切と判断する行為

マイル付与

当社は、Easiit Mile利用規約に従い、当社が定める方法により、本サービスの利用に応じてお客さまにマイルを付与することができるものとします。
当社は、会員に事前に通知することなく、マイル付与条件を新設、変更、終了することができるものとします。

以上

同意する