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【連載】そろそろ気になる親のこと vol.4

第4回 30代・40代とは違う、段差がなくてもつまずく親世代の「安全」な家とは?
10年後の親と自分のこと、ちょっとだけ考えてみませんか?
毎日を忙しく過ごしている30代、40代のビジネスマン・ビジネスウーマンに「親のもしもにゆる~く備えるコツ・子世代が持つべきほんの少しの知識と心構え」を、現役の介護者でもある生前整理アドバイザーの村上充恵がお伝えします。
誰でも歳を重ねると不安になりがちですが、ちょっとした家族の気づきとサポートで、親は元気と自信を取り戻します。親がいつまでもイキイキしていられる、それは家族にとってもうれしいことです。ご家族が長く幸せでいられますように。
転倒事故が原因で亡くなった人のほとんどが高齢者
2017年の1年間に転倒や転落が主な原因で亡くなった人はおよそ1万人。交通事故で亡くなった人のおよそ5,000人の2倍にもなります。転倒で亡くなった人のほとんどが65歳以上です(「人口動態調査(平成29年)」厚生労働省より)。
幸い一命をとりとめても、転倒・入院をきっかけにその後ずっと介護が必要になってしまったという話、耳にしたことがありませんか?
東京消防庁の調べでは、高齢者の救急出動要請が一番多いのは「ころぶ事故」で全体の82%を占め(*1)、また事故の61%は家庭内で起こっています(*2)。
事故種別ごとの高齢者の救急搬送人員
発生場所別搬送人員
安全確保の観点で、親の様子と家の中外を確認しましょう
家の中には転倒の危険が潜んでいます。下記のチェックリストで確認してみましょう。
□ ドアや引き戸がスムーズに開き、通ることができますか?
□ 玄関で靴を脱ぎ履きするとき、よろめいたりしていませんか?
□ スリッパのサイズは合っていますか? スリッパはどうしても必要でしょうか?
□ 階段の上りは大丈夫でも、下りの足元が不安定ではありませんか?
□ 居間の床に滑りやすい敷物や、何本もの電気コードがありませんか?
□ 新聞や雑誌、チラシなどが積んであったり床に落ちたりしていませんか?
□ 寝室からトイレまでの階段や廊下の照明は適切ですか?
□ 寝室に倒れやすい大きな家具や崩れやすい荷物はありませんか?
□ 椅子や踏み台を使わなければ出し入れできないモノがありませんか?
□ 浴室と洗面所との段差が大きくないですか? お風呂マットは滑りやすくないですか?
家の内外事故の危険性に気づいたら、できる範囲で応急処置を
「モノが多い、雑然としている」……いざというときの通路確保は大切です。崩れる・滑る・引っかかるモノはできるだけ片付けましょう。
「段差がある、暗い」……人は加齢とともに五感や運動能力が低下していきます。慣れているはずのちょっとした不便は危険に変化しているかもしれません。
親は「気を付ければ大丈夫」「そのうち何とかする」と深刻には考えないで済ませがち……。
動線の邪魔をするものを片付け、滑り止めや手すりなどを設置するだけで危険は減り、生活が楽になります。
また、冬季はヒートショック・夏季は熱中症の危険がないか、各部屋の温度と暖冷房器具のチェックもお忘れなく。
話を切り出しにくい場合は「災害」を理由にアプローチしてみましょう
概して年を重ねた親は、自身の老いによる衰えを、辛く悲しく感じているもの。
「転ぶと危ないから片付けよう」と体力や認知力の低下をストレートに指摘するのは避けたほうが良い場合もあります。人によっては「まだまだ元気、大丈夫なのに」と、プライドが傷つき、素直に応じてくれないことも。
機嫌を損ねずスムーズに進めるきっかけとしては、昨今の「災害」を話題にして、「一緒に安全対策をしよう」と話し合いを始めると無理がありません。
日本列島では「火事」「地震」への備えは他人ごとではなく、近年は「台風」「集中豪雨」による災害が数を増しています。
防災用品の点検や避難場所確認から始まり、安全確保のための家具移動、避難の邪魔になるモノの片付け、出入り口の確保など「防災」が理由だと、親も納得する確率が上がります。
実は「夜中のトイレ」動線対策は、「停電」対策と同じ! この先の介護も考えて
加齢とともに気になる就寝中のトイレ問題。暗い中、廊下や階段で転んでしまう例が多いといいます。
我が実家ではかつて「停電になってもトイレに行けるように」という理由で、センサー付きのミニライトを廊下に設置。非常灯にもなるスグレモノでした。
また、将来要介護状態になったときには、多くのスタッフが家の中を出入りしますし、介護ベッドや介護用品なども増えます。万一介助が必要になった場合、家族や介護スタッフの付き添いスペースも必要になります。
将来のバリアフリー工事・同居・住み替えなど、モノが片付いていると、この先の暮らしの変化への対応もスムーズです。
<今日からできるワンポイント>
ブランド買取店やリサイクルショップ、フリマアプリやオークションサイト、海外寄付など、「捨てる」以外にもモノの処分方法は多岐にわたり、またその方法は進化しています。親に情報提供し、可能なら一度処理を手伝いましょう。ゴミの引き取りは有料で、分別も複雑。高齢者家庭では、不要と分かっていても処分がおっくうでそのままになっていることも多いものです。
「不要なモノでも誰かが使ってくれる」と分かると、親は安心してモノの処分を進めてくれるかもしれません。
編集:株式会社エアリーライム
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