肩こり、腰痛など「体の不調をカバーする寝方」で睡眠の質を高めよう

あおむけ、うつ伏せ、横向き、大の字など寝るときの姿勢は人によって異なるほか、時間帯や日によって姿勢が変わることも。私たちの寝方は、睡眠にどのような影響を与えているのでしょうか?

寝る姿勢によって睡眠の質に差があるのか、個人の体質などによっておすすめの寝方はあるのか、さまざまな寝方に関する疑問について、快眠セラピストの三橋美穂さんに聞いてみました。

寝つきの良さが質の高い睡眠のカギ! 脱力できる寝方を

――寝る姿勢と睡眠の質の関係性についてお伺いする前に、そもそも「質の高い睡眠」とはどういうものなのか教えてください。

入眠直後の睡眠が最も深く、明け方になるにしたがって浅くなっていくのが質の高い睡眠のパターンです。その間にも深い睡眠(ノンレム睡眠)と浅い睡眠(レム睡眠)が適切なリズムで繰り返され、しっかりと心と体が回復できたときは、質の高い睡眠が取れたといえるでしょう。

質の高い睡眠を取るために必要な要素はたくさんありますが、前提条件となるのは寝つきの良さです。布団に入り、目を閉じてから10〜20分くらいで眠れる人は、寝つきが良いと言えます。

一方、寝つきがあまりに早い方は慢性睡眠不足で、あまり良い状態とは言えません。このような方は睡眠時間が短い傾向にあり、睡眠前半(入眠後3時間程度)に多い深い睡眠は取れているけれど、後半(入眠後4時間以降)に増える浅い睡眠が取れていないので、記憶の整理ができなかったり、心の疲れが癒やされていなかったりします。

質の高い睡眠において大切なことは、全ての睡眠段階が適切に取れていることで、深い睡眠さえ取れていればいいわけではありません。

――すぐ眠ってしまうのは、よいことだと勘違いしていました……! 寝つきを良くするためにできることはありますか?

規則正しい生活を送って体内時計を整えることですね。体内時計は24時間よりも長いサイクルで設定されているのですが、毎朝同じ時間に起きて、太陽の光を浴び、朝食をとることでリセットされます。

外に行かずとも、ベランダや窓際1メートル以内の場所で、朝日を15〜30分間浴びればOKです。そして、朝食・昼食・夕食を毎日なるべく同じ時間に食べて、就寝時間と起床時間も一定にして生活リズムを整えることも大切。

寝る前は、睡眠を妨害するリスクのあるスマホなどは触らないようにするか、ナイトモードにして照度を落とすようにしてみてください。

寝つきを良くするためには何より、リラックスすることが重要です。そのため、伸び伸びと寝られる環境がベスト。残念ながらご家族やパートナー、ペットなどと一緒に寝るのも、睡眠の妨げになるのでおすすめできません。いつでも自由に心置きなく寝返りが打てるよう、一人ずつ自分の布団やベッドで寝るのが良いでしょう。

――寝つきが良くなる寝方はあるのでしょうか?

一概に、こういう寝方をすると、寝つきが良くなるというものはありません。リラックスして落ち着く姿勢こそ、寝つきが良くなる姿勢です。寝つきを良くするためには、体の力を抜かないといけないので。ただ一つ言えることは、あおむけで寝られるのは健康である証拠。

――あおむけが健康な証なのは、なぜでしょう?

体に不調があると、あおむけ以外の姿勢を取ろうとする傾向があるからです。例えば、腰痛持ちの人は腰を丸める姿勢に、内臓が疲れている人はそれらを守る姿勢に、自然と体が動きます。

ところが、体の不調に合った寝方を見つけられず、寝つきが悪くなってしまう方もいます。そんな方は、これから紹介する「不調をカバーして寝つきを良くする寝方」を試してみてください。

快眠セラピスト直伝 体の不調をカバーする寝方で睡眠の質アップ

睡眠を妨げる体の不調をカバーし、寝つきが良くなる入眠時の寝方を三橋美穂さんが解説します。

消化器や肝臓の疲れ、イビキには、抱き枕を使った横向き姿勢がおすすめ

消化器や肝臓の疲れ、イビキには、抱き枕を使った横向き姿勢がおすすめ

食べすぎて消化器が疲れている場合は体の右側を下にする横向き、飲み過ぎなどで肝臓が疲れている場合は体の左側を下にして横向きになると、ラクになります。

イビキをかきやすい人も、気道を確保できる横向きがいいでしょう。うつ伏せでも気道は確保できますが、首や顎、頬に負担がかかってしまうため、無理のない姿勢を選んでください。

横向きで寝る場合は、抱き枕を使うといいでしょう。体全体が脱力しやすくなり、寝つきを良くしてくれます。抱き枕の形は、腕に挟む側が分厚く、脚に挟む側が薄くなっているタイプのものがおすすめ。上に乗せる腕をしっかりと支えてくれて、かつ脚で挟んだときに上側の足の重みを分散しつつ、骨盤が開かないからです。もし抱き枕がない場合は、使っていない布団を丸めて代用するという手も。

腰痛持ちの人は横向き&膝の間にタオルやクッションを挟んで

腰痛持ちの人は横向き&膝の間にタオルやクッションを挟んで

腰痛持ちの人も横向き姿勢がいいでしょう。横向きになることで体が丸くなり、その結果腰が反らないからです。この場合も、抱き枕があると肩や骨盤周りが楽になります。

ちなみに腰痛がひどいときは横向きになって膝を曲げ、膝の間にタオルやクッションを挟む姿勢もおすすめです。膝を曲げることで腰が緩むほか、タオルなどで上側の足の重みを分散することで、よりリラックスして脱力できます。

補足すると、腰痛持ちの人はマットレスも見直したほうがいいですね。お尻が沈んでしまうほどマットレスが柔らかかったり、経年変化でへたっていたりすると、腰痛を悪化させます。コイルやウレタンなど素材はお好みで構いませんので、硬すぎて腰が浮かず、柔らかすぎてお尻が沈まない、ちょうどいい硬さのマットレスを選びましょう。

肩こり、首の凝りにはバンザイ姿勢

肩こり、首の凝りにはバンザイ姿勢

デスクワークなどで肩や首が凝っている人は、寝始めの5分くらいバンザイの姿勢をしてみましょう。両手を挙げることで、肩や首まわりの筋肉が緩んで、かつ血流も良くなるからです。ただし、ずっとバンザイしたままだと、腕や肩が冷えてしまいます。体にあった枕を使うと肩こりも改善されますので、枕選びにも配慮しましょう。

脚のむくみには足下クッションを

脚のむくみには足下クッションを

たくさん走ったり歩いたり、脚がむくんでいると感じるときは、脚の下に枕やクッションを置いてあげるといいですね。脚を心臓より高い位置に持ち上げることで重力が働き、脚部分の血が心臓にまでよく巡るようになり、むくみや血行不良を解消しやすくなります。使用するのは寝始めの20分くらいが目安。寝入って体が不要に感じると自然に蹴り出しますので、それでOKです。

歯ぎしりをする人は枕を低めにしてマウスピースを着用

歯ぎしりをする人は枕を低めにしてマウスピースを着用

睡眠中の歯ぎしりに悩まされている方は、マウスピースを使用することが最優先です。その上で、枕の高さを見直す必要もあるでしょう。枕が高いと奥歯を噛みしめやすくなるので、低いものに変えてみてください。

歯ぎしりをする人に限らないのですが、枕は首から頭にかけての隙間を埋めるものなので、思っているより低いくらいがちょうどいいです。いま使っている枕が高いときは、バスタオルを折りたたんで枕を自作してもいいですね。

枕の素材はお好みで構いません。専門家がいる寝具店で、高さと形が自分にあっている枕をチェックしてみてください。

寝具や睡眠環境を整えリラックスできる寝方で、質の高い睡眠を

寝つきの良さに影響する寝方には、実は知らないうちに抱えていた体の悩みが現れます。リラックスできる体勢こそが自分にあった寝方ですが、体の不調に合わせて抱き枕やクッションなどを使うことで、より快適に入眠できるそう。寝具や睡眠環境を整えて、質の高い睡眠を目指してみてはいかがでしょうか。

三橋美穂さん

  • 三橋美穂さん

    快眠セラピスト。寝具メーカーの研究開発部長を経て独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきた。とくに枕に関しては、頭を触っただけで、その人に合う枕を見極められるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。主な著書に『眠トレ!ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三笠書房)ほか多数。
    https://sleepeace.com/

取材・文:中森りほ 編集:水上歩美(ノオト) 絵:かざまりさ

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