登山、BBQ、街巡り etc. 脳を騙した「エクストリーム出社」で働く意欲を高めよう

登山、BBQ、街巡り etc. 脳を騙した「エクストリーム出社」で働く意欲を高めよう

築地市場で海鮮丼を食べてから出社。数時間ほど軽く登山をしてから出社。海辺でBBQ をしてから出社、等々。極端なアクティビティをこなしてから会社に行くことを「エクストリーム出社」といいます。

エクストリーム出社をする人は「出社ニスト」と呼ばれ、さまざまなアクティビティでそのユニークさを競い合います。これまでにも、山手線全29駅を自転車で一周したり、九十九里浜で日の出を見たり、早朝に合コンをしたりと、各地で出社ニストがエクストリーム出社を楽しんできました。

なぜエクストリーム出社は、人々を惹きつけてきたのでしょうか。考案者の天谷窓大さんに、エクストリーム出社が生まれた経緯や、仕事への影響などを伺いました。

自分の脳を「騙して」出社してみた

自分の脳を「騙して」出社してみた 

――BBQや登山などの遊びを取り入れ、楽しそうな印象がある「エクストリーム出社」ですが、もともとは天谷さんが辛い時期に編み出した一つの“解決策”だったと伺いました。

天谷窓大さん(以下、天谷):そうですね。25歳のころ、会社内で人間関係も仕事も全くうまくいかなくて、毎日上司から怒られてばかりいました。ちょっとしたミスでも強く指摘されて、「こんな考え方をするお前はダメだ」と人格攻撃をされる、今でいうパワハラのような状態です。おまけにいつも忙しくて、朝から終電まで働く日々。ノイローゼ状態で、いっときは「仕事を辞めるか、生きることをやめるか」とまで考えるようになってしまいました。

――かなり追い詰められていたのですね。

天谷:でも、もちろん死にたくはないし、仕事をいま辞めてもキャリア不足で転職は難しい。だから、僕に残った選択肢は「出社し続ける」ことだけでした。じゃあ、せめて少しは楽しい気分で出社できないか、と。自分の脳を騙してでも嫌な気分から解放されないと、とてもじゃないけど正気ではいられなかったんです。

――そこから、脳を騙すために何をしたのですか?

天谷:まず、自分の人生を振り返って、「どういうときに楽しかったか」を思い出しました。僕の場合は「旅行」です。昔からどこか知らない土地に行くのが好きで、青春18切符などを使っていろいろな場所に足を運んでいた。だから、どうにかして出社の時間を「旅行」みたいにできれば、自然とワクワクするかもしれないと思ったんです。

――なるほど。

天谷:そこから、いかに遠回りをして会社に行けるか、という一人遊びが始まりました。もちろん出社は遅刻できないので、その代わり早起きをして出かけます。会社とは別方向の電車に乗って、本を一冊読んだり、知らない景色を携帯で写真におさめてブログを書いたり。考えつく限りの遠回りを試しながら旅気分を味わうようになったのが、エクストリーム出社の始まりです。

生活の軸をどこに置くかデザインする

生活の軸をどこに置くかデザインする

――とても楽しそうな朝の時間ですが、結局会社に着いたら嫌な上司が待ち構えているわけですよね。日常に逆戻り、という感じにはなりませんでしたか。

天谷:それが、なんだか気分が変わったんですよ。平日の朝に遊び呆けるという秘密がいいスパイスになって、上司に怒られてもあまり気にならなくなりました。会社で働くことが朝の旅の延長戦上にある感じで、怒鳴られても「厳しく叱責してくる上司」というアトラクションを楽しんでいる気分になれたんです。

――出社前の旅の高揚感が、勤務中の自分を変えてくれたんですね。

天谷:自分でも生き生きしている実感がありました。疲れにはいろいろな種類があると思うのですが、日々何も変わらないことによる慢性的な倦怠感ってありますよね。「今日もまた同じように怒られるんだろうな」みたいな。

そういう変わりない毎日の一番初めに、無理やり非日常的な時間をねじ込んだことで、日常が新鮮な日々に様変わりしました。それまでは、毎日朝から夜まで仕事一色で会社が主軸でしたが、次第に出社前の旅行の方が主軸になっていく。そうやって生活の軸をどこに置くか、デザインし直すことで、変化に満ちた日々を取り戻したのです。

――仕事が生活の主軸にならないだけで、精神的にもかなり大きな変化があった、と。

天谷:当時は「遊んだ帰りにふらりと会社に寄るか」みたいな心持ちでした。早起きしている分、睡眠時間を確保したいから、お昼休みはご飯をさっと食べて仮眠する。早く帰ることができた日はすぐに寝る。とにかく翌朝、何をして遊ぼうかと一人で考えることが楽しくて仕方なかったです。

「エクストリーム出社」と名付けたことで話題に

「エクストリーム出社」と名付けたことで話題に

――そういった一人遊びを「エクストリーム出社」と名付けたことで、一気に話題になりました。

天谷:はい。あるとき友人と飲んでいて、僕が普段している出社前の遊びについて話したら、すごく面白がってくれて。ちょうど当時、「エクストリーム・アイロニング」という、人里離れた崖の上や森の中など危険な場所でアイロンがけをする競技が動画サイトで話題になっていたんです。非日常の中で、日常のことをするスポーツ。

僕が出社前にしていた遊びも、まさに日常生活の中の非日常的な行為でした。ハチャメチャな方法で会社に行くという意味と親和性が高いので、その場で僕が「エクストリーム出社」と名付けようと提案しました。そして数日後、特に興味を持ってくれた友人を誘って「海水浴からの出社」をやってみたんです。

――出社前に海水浴。

天谷:朝の6時に鎌倉駅に集合し、歩いて由比ヶ浜海岸まで行き、誰もいない海水浴場に飛び込む。海に入った瞬間、頭が快感でビリビリしましたね。「朝一で会議だから遅れるなよ」と言われている日の朝、僕は海で遊んでいる。その非日常感に、すごく興奮したんですよ。

――朝から海で遊んで出社したら、午後になると眠くならなかったのですか?

天谷:そのときは鎌倉から会社まで距離があったので、指定席の切符を買って寝ながら出社しました。その二度寝がまた、すごく気持ちがよかったんですよ。出社後に仕事をして、お昼にまた仮眠をする。そうやって小さな睡眠を挟むと、こまめに脳がリセットされ、自然とメリハリのつきやすい生活になるんです。学校の時間割もいろんな科目が並んで、その間にこまめに休憩が挟まれていましたよね。でも、社会人になると仕事一辺倒で、ずっと走り続けることが当たり前になっている。僕はそれが辛くて、疲れてしまっていたんです。

全国に現れる出社ニストたち

全国に現れる出社ニストたち

――エクストリーム出社が広く知られ、全国各地で出社ニストが現れていきました。彼らに何らかの共通点はありましたか。

天谷:会社の人間関係に疲れている、仕事で自分の好きなことができない、という人が多かったですね。望まない毎日を過ごすのが耐えられなくて、だからせめて朝くらいは好きなように過ごしたい、と。

――仕事にやりがいを見出すのではなく、プライベートを充実させて働く意欲を高めるような人が多いのですね。

天谷:エクストリーム出社に限って言えば、仕事で自己実現できるタイプの人はやる意味がありません。だって仕事には何も役に立たない、端的に言うと無駄な行為ですから。それよりも、仕事に活かせる技術や語学の勉強など、いわゆる“朝活”の方がずっと役に立つでしょう。

よく朝活とエクストリーム出社は混同されがちなのですが、両者は対極に位置しています。朝活は仕事や自己実現への投資時間かもしれませんが、エクストリーム出社は単に「どれだけハチャメチャに出社できるか」を競うだけの遊びですから。

――ただ、その遊びの中で、思わぬ副産物が生まれるわけですよね。天谷さんでいえば、仕事でのノイローゼ状態から回復して、毎日の仕事もメリハリがつくようになった、みたいな。他の出社ニストさんからも、そういう話は聞きますか?

天谷:よくありますね。たとえば一緒にエクストリーム出社した人の会社に入社することになった、とか。考えてみれば、それだけ酔狂なことをやる二人だから、気が合うに決まっていますよね。早朝にこっそりやる、という共犯関係もまたいい形で影響したんだと思います。そうやって非日常を楽しむ中で、新たな日常の扉を開ける人もいます。

――遊びながら新しい人生を見つけられるのはいいですね。

天谷:やりたいことがわからないと悩む人は多いので、そういう人にこそ試してほしいです。普段とはまるで違う景色を見たり、ちょっと勇気を出して無茶をしてみたり、そういう中で「自分ってこういうことできるんだ」みたいな発見があるかもしれない。

――ちなみに、エクストリーム出社のような、新しく試してみたいアイデアはありますか?

天谷:「月みそか」ですね。大晦日って、一年に一回しかないじゃないですか。そうじゃなくて、毎月最後の日にみんなで年越しそばならぬ月越しそばを食べて、その月の振り返りをしながら盛り上がる集会です。そして、「来月もよろしくお願いします」なんて言いながら、新月の新たな抱負を考える。

――なるほど。毎月新鮮な気持ちで迎えられそうです。

天谷:そして月を越したら、早朝に初詣に行きましょう。エクストリーム出社もできて、きっと気持ちのいい月の始まりになりますよ。うん、月みそかは、近々やりたいな。


取材・文:園田もなか 企画・編集:水上歩美(ノオト) 写真:井上依子

FEEDBACK 評価 / コメントする

PICK UP KEYWORD 注目キーワード

Magサイトで注目されているキーワードをご紹介します。

CATEGORY カテゴリ

  • CONDITION

    脳のコンディションをサポートする
    情報を掲載。

    一覧へ
  • FOOD

    健康的な食習慣に関する
    情報を掲載。

    一覧へ
  • FITNESS

    健康のための体づくりに関する
    情報を掲載。

    一覧へ
  • LIFE

    自分や身近な人の
    脳の健康ケアについて掲載。

    一覧へ
  • BRAIN PERFORMANCE

    脳のパフォーマンスを有効活用する
    情報を掲載。

    一覧へ
  • COLUMN

    脳の健康に関する特集を掲載。

    一覧へ

Easiit Mag利用規約

はじめに

エーザイ株式会社(以下、「当社」といいます)がEasiit IDを登録した会員(以下、「会員」といいます)向けに運営する、認知症を含むヘルスケア(運動、食事、睡眠など)等に関するコンテンツを提供するサービスEasiit Mag(以下、「当サービス」といいます)のご利用に当たっては、以下の注意事項を熟読いただき、この利用規約(以下、「当規約」といいます)に同意された場合にのみご利用ください。同意いただけない場合には、誠に申し訳ございませんがご利用をお控え下さい。なお、当サービスをご利用いただいた場合には、下記内容に同意いただいたものとさせていただきます。また、当規約については、当社の判断により変更する場合があります。当規約の変更後に会員が当サービスを利用した場合、当該会員は変更後の規約の内容に同意したものとします。

サービス内容

当サービスは、認知症を含むヘルスケア(運動、食事、睡眠など)等に関するニュース、レシピなどのコンテンツが読める会員向けサービスです。 Easiit IDを利用して、当サービスにログインすることにより、利用者は記事にコメント投稿、評価を行うことができます。

禁止行為

会員は本サービスを利用するにあたり、以下の各号に規定する行為・投稿をしてはならないものとします。

  • 犯罪行為に結びつく、もしくは助長する内容
  • 法令に反する内容
  • 営利宣伝目的を含む内容
  • 特定の政治的または宗教的主張を含む内容
  • 根拠なく当社または第三者の評判を毀損しまたは信用不安を引き起こすおそれのある内容
  • 当社または第三者の著作権、名誉、プライバシーその他の権利を侵害しまたはそのおそれのある内容
  • 差別的表現を含む内容
  • 低俗、有害、下品その他他人に嫌悪感を与える内容
  • 有害なプログラム、スクリプト等を書き込む行為
  • その他当社が不適切と判断する行為

マイル付与

当社は、Easiit Mile利用規約に従い、当社が定める方法により、本サービスの利用に応じてお客さまにマイルを付与することができるものとします。
当社は、会員に事前に通知することなく、マイル付与条件を新設、変更、終了することができるものとします。

以上

同意する