うっかりミスは情報量の多さが原因? 物忘れが気になったら意識したい5つの習慣

うっかりミスは情報量の多さが原因? 物忘れが気になったら意識したい5つの習慣

「やらなければいけないことをすっかり忘れていた」「人の名前がなかなか出てこない」……。こうした“物忘れ”の経験は、誰しもあるものではないでしょうか。とはいえ、頻繁に物忘れが起こると、少し不安な気持ちにもなってきますよね。物忘れは老化のせいとされがちですが、実は年齢に関係なく起こり得るのだとか。その原因と、脳の働きを良くする生活習慣について、おくむらメモリークリニック院長の奥村歩先生に伺いました。

「最近物忘れがひどい……」それには明確な理由があった?

――最近、物忘れが激しいと感じることがあります。まだそのような年齢ではないはずなのに、一体なぜなのでしょうか。

インターネットが普及した現代社会では、日々大量の情報がとめどなく頭の中に流れ込んできます。また、日常生活や仕事の上でも、いくつもの案件を同時に処理しなくてはならないケースが多々ありますよね。いわゆるマルチタスクです。この状態が続くと、脳が過度に疲弊する「脳過労」の状態になってしまうのです。この脳過労が、いま40〜60代の物忘れを加速させる事態を引き起こしています。

さらに現在は、新型コロナウイルスの感染拡大によって生活スタイルが変化し、不安やストレスを感じている方も多いでしょう。人間は漠然とした不安感があると、脳の認知機能が低下するとも言われているのですよ。

「最近物忘れがひどい……」それには明確な理由があった?

――コロナ禍が物忘れにつながってくるとは……。

不安感が募っていることと同時に、オンラインコミュニケーションが増加したことも、脳の働きを低下させていると考えられます。本来コミュニケーションは対面で行われ、その際に五感を使って「必要な情報は取り入れ、不要な情報は捨てる」という整理整頓が自然と脳内で行われるのですが、オンラインでは五感が働きづらくなります。
こうしてインプットした情報が整理されることなく放置されると、脳がゴミ屋敷のようになってしまいます。このことが原因で、40代の働きざかりのうちから物忘れが進行しているケースもあるのです。

――なるほど。若年層の「物忘れ」は、いわゆる認知症とは別物なのでしょうか。

別物ですね。認知症の場合、整理整頓の前段階であるインプット=入力がそもそもうまく機能しなくなります。たとえば、どこどこに行ってきたという出来事の記憶自体が、スッポリ抜け落ちてしまうことも起こりえるのです。
一方、整理整頓が滞る若年層の脳過労による物忘れは、本当に大切な仕事の用件は忘れないけれど、たとえば美容院の予約など、プライベートの出来事は忘れてしまいがちなんです。「いままで定時までにできていた書類の整理が、最近できなくなった」「夕飯の時間までに5品目は作れていたのに、最近作れなくなった」という状態もまた、脳のパフォーマンス低下による物忘れと言ってもいいでしょう。つまり、年齢に関係なく物忘れは起こるのです。

――知らない間に、体だけでなく、脳もオーバーワークになっているのですね。

そうです。現代人は、ちょっと暇になるとすぐにネットサーフィンをして不要な情報を脳へインプットしがちで、ただぼんやりしたり、人と雑談をしたりして脳を休める暇がない。スマホもアルコール同様に依存症が起こりえるものですから、気をつけなくてはいけません。反対にそういった生活習慣を変えることができれば、脳過労=物忘れを防ぐことも可能だと言えます。

物忘れを防ぐための5つの生活習慣

奥村先生いわく、「多くの情報を詰め込みすぎず、脳をリフレッシュさせることが物忘れを防ぐ上で重要」とのこと。では、どのような生活習慣を心がければいいのでしょうか。具体的な手段を解説します。

無駄な情報をシャットアウトする

無駄な情報をシャットアウトする

第一に重要なのは、いわゆる「デジタルデトックス」と呼ばれる状態をつくること。ネットサーフィンをしたりSNSをチェックしたりといった行動は、気づかないうちに脳を疲れさせてしまう原因です。まずは、できるだけ脳に入れる情報量を減らしましょう。

デジタルデトックスのポイントは“目的があるかどうか”。たとえば、ネットで仕事のリサーチが必要な場合や、デジタルツールで仕事相手とコミュニケーションを取るような場合は、そこに目的があるため、脳に入ってくるのは必要な情報です。しかし、特に何の目的もなくネットやSNSを使っているようなら、それは考えもの。本来は必要のない無駄な情報を頭の中に入れている可能性があります。

リズム運動を行う

リズム運動を行う

脳の中の情報を整理するためには、無心の状態になるのが効果的です。しかし、いざ「ぼんやりしてみよう」としても、つい考えごとをしてしまったりして、これが案外難しいもの。そこでおすすめしたいのは、散歩やジョギング、サイクリングやスイミングなどといった有酸素運動です。一定のリズムで同じ動作を繰り返してみましょう。

同じ運動でも、たとえばフットサルのように、ボールと敵を見ながらゴールを決めるために頭を使ったり、勝敗が決まったりするスポーツはあまり効果がありません。決まった動作を繰り返すリズム運動だからこそ、無心になれるのです。週に3回、1回30分以上を行うように心がけましょう。

皿洗いや靴磨きなど、単純作業の家事を行う

皿洗いや靴磨きなど、単純作業の家事を行う

運動が苦手な方ならば、家事の最中にも同じようなリズム動作を行うことが可能です。皿洗いをしたり、靴を磨いたりといった単純作業は、無心状態になるのに非常に良いとされています。体を動かさなくても、「何かに没頭している」だけでも意味があるのです。家族と話しながら行うのではなく、一人で無心になって黙々と取り組んでみてください。

外に出て、五感を刺激する

外に出て、五感を刺激する

脳の疲労を回復させるポイントは、「五感に働きかけること」です。現代人は視覚を使う機会ばかりが多く、嗅覚や聴覚などが衰えやすくなっています。さらにコロナ禍の影響で気軽に外出できなくなり、自然に触れる機会が少なくなっているのが現状です。積極的に日光浴や森林浴をして、自然を五感全体で感じられるように意識しましょう。

規則正しい生活を心がけ、寝る前にスマホは見ない

規則正しい生活を心がけ、寝る前にスマホは見ない

記憶を整理するためには、睡眠も重要な役割を担います。「日が昇ったと同時に働き、日が沈んだら寝る」という生活は、当たり前のように体に良いと言われていることですが、体だけではなく脳にとっても理想的なのです。できる範囲で規則正しい生活を送るよう心がけましょう。

また、寝る前のスマホは睡眠に良い影響を与えません。スマホの明かりで目が冴えるだけでなく、無駄な情報が脳に入ってきて、睡眠中の整理整頓機能を低下させてしまいます。なんとなくスマホを触ってしまう習慣をなくすようにしましょう。

優先順位をつけながら、脳に入る情報をコントロールしよう

情報を詰め込みすぎて脳過労に陥ったり、コロナによって不安障害に悩まされたりする人は、生真面目で手を抜かないタイプが多い傾向にあると奥村先生は言います。すべて完璧にこなそうとすることは、すなわち、常に気を張った状況での生活に陥りがちなのかもしれません。だからこそ、物事に優先順位をつけて適度にオンオフを行い、脳過労を未然に防ぐことが重要になってくるのではないでしょうか。

<プロフィール>
日本認知学会専門医・指導医/おくむらメモリークリニック院長
奥村歩(おくむらあゆみ)先生

  • 奥村歩さん

    1961年生まれ。医学博士。岐阜大学医学部卒業、同大学大学院博士課程修了。アメリカ・ノースカロライナ神経科学センターに留学後、岐阜大学附属病院脳神経外科病棟医長併任講師、木沢記念病院勤務を経て、2008年に「おくむらクリニック」を開院。設置した「もの忘れ外来」には全国から多くの人が来院し、これまでに10万人以上の脳を診断。脳神経外科医として認知症やうつ病に関する診察も多く経験し、日本脳神経外科学会(評議員)・日本認知症学会(認定専門医・指導医)・日本うつ病学会他の学会で活躍している。著作に「『朝ドラ』を観なくなった人は、なぜ認知症になりやすいのか?」(幻冬舎)他、25冊以上。


取材・執筆:成瀬瑛理子 編集:波多野友子/ノオト

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