見る力を鍛える「ビジョントレーニング」で脳力もUP!

見る力を鍛える「ビジョントレーニング」で脳力もUP!

視力は悪くないのに、「ものを見る力」はよくない人がいるってご存じですか? 確かに視力検査はお馴染みでも、目に入った情報をどれだけ利用できているかを測るテストはありませんね。目の専門職“オプトメトリスト”(米国公認)の内藤さんに、「ものを見る力」を身に着けて、脳を鍛えるトレーニング法を教えていただきました。

内藤貴雄さん

  • 内藤貴雄さん

    ないとう・たかお 甲南大学経営学部卒業後、渡米。カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)生物学科を経て、南カリフォルニア・カレッジ・オブ・オプトメトリーでドクター・オブ・オプトメトリー(検眼医)を取得。帰国後、眼鏡会社を経営するかたわら、視力ではわからない隠れた目の問題で悩む子どもやアスリートのビジョンケアを行う。著書に『眼から鍛える運動能力』、『3週間「速読」ビジョントレーニング』『魔法のビジョントレーニング』『脳は眼から鍛えなさい! 』など多数

私たちは目ではなく「脳」でものを見ている

私たちは目ではなく「脳」でものを見ている

――目でものが見える仕組みは、よくカメラにたとえられます。角膜はフィルターで、水晶体はレンズ、網膜はフィルムの役割を果たしていると。

仕組みとしてはそうです。正しくは、網膜に映った情報が脳のある箇所に届いてから「見えてくる」のです。脳に保存された過去の情報と映像が結び付き、それを脳が理解して初めてものが「見える」。目と脳の“協調性”が必要なのです。

――目と脳は密接に結びついているのですね。

脳は外部からの刺激(情報)を、視覚・触覚・嗅覚・聴覚・体性感覚を通して受け取ります。中でも情報収集の8割は視覚を通して行っていると言われています。ですから「脳の一部」ともいえる目をトレーニングすることで、脳を効果的に刺激することができます。

――内藤さんが実践される「ビジョントレーニング」のことですね。視力回復トレーニングとどう違うのですか?

ビジョントレーニングは、目の運動機能と情報の処理機能を鍛えるもので、近視を治すのとはまったく異なります。「視覚」は歩いたり話したりするのとの同じように、成長過程のさまざまな体験を通して身につけていくもの。「視力」と「視覚(ものを見る力=ビジョン)」は別ものです。
実際に、オプトメトリーで120年の歴史があるアメリカでは、子どもの発達をサポートする目的でビジョントレーニングが行われています。例えば眼球運動のコントロール力が未熟な子は、本を読むときに行を飛ばしてしまったり、読んでいる場所を見失ったりします。それが原因で集中力や読解力が劣り、勉強嫌いになってしまう子もいるのです。大人でも、眼精疲労で集中力が落ちたという方は多いのではないでしょうか? 皆さんの想像以上に、「ものを見る力」は脳のパフォーマンスと密接に関係しているのです。

子どもの発達をサポートする目的でビジョントレーニングが行われています

――具体的にはどのようなトレーニングを行うのでしょうか?

目をスムーズに動かすための『眼球運動』、ふたつの目のチームワークを鍛え、正しく空間内の距離を読むための『両眼視機能』、そして目から得た情報を頭に伝達し、正確に体を動かすための『視覚−感覚運動統合力』などがあります。それらのトレーニングを行うことで脳が活性化して、集中力や運動能力アップ、日常生活の質の向上などが期待できます。

―パソコンのスペックが上がるようなイメージですね。

そうですね。ビジョントレーニングは子どもの発達支援だけでなく、スポーツ分野では1970年代からメジャーリーグやNBA、オリンピアンなど、トップアスリートのトレーニングに採用されてきましたし、近年では脳外傷の患者さんの後遺症改善のリハビリトレーニングとしても活用されるようになりました。さまざまな効果が期待できる「脳トレ」だと思います。

MLBのトップアスリートも行うビジョントレーニング
MLBのトップアスリートも行うビジョントレーニング

―その指導をするのがオプトメトリストですか?

オプトメトリーは眼科学、視科学、眼鏡技術、心理学などにわたる総合的な学問で、その分野で資格を得た人がオプトメトリスト、視覚機能のスペシャリストです。メガネの処方や眼病の検診、視覚機能の改善やリハビリテーションなど、総合的なビジョンケアを提供します。メガネの処方の段階で、眼病だけでなく脳や体の病気が見つかり、オプトメトリストが脳神経科や内科などの専門医を紹介することもあり、オプトメトリストの仕事は「プライマリ・ケア(第一のケア)」と呼ばれています。アメリカだけでなく、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパなど世界47か国(2014年時点)で国家資格として扱われています。

――最近、目が疲れやすくて集中力が続かないと感じるのですが。

眼球には6つの筋肉があり、目標物に合わせて目を動かしたり、ものを立体的に捉えるために両目を連動させたりしています。また、目の中では毛様体筋が、水晶体の厚みを変えることでピントを調節しています。ところが加齢や目の偏った使い方によって、これらの筋肉を使う感覚が衰えていきます。すると、ものを見るときに余分な力が必要になって、眼精疲労や集中力低下につながるのです。最近目が疲れやすい、集中力が落ちた、数字の見落としが多くなったという人は、「目筋力」の衰えが原因という可能性があります。

そんな人は、ビジョントレーニングで目の筋肉を滑らかに動かせるようになれば、徐々に見ることが苦痛でなくなり、集中力を取り戻せるかもしれません。ここでは、1日5分でできる基礎的なトレーニングをご紹介します。

ビジネスパーソンにおすすめのビジョントレーニング

【準備運動】目のストレッチ

  1. 部屋の壁から1mほど離れて立ちます。
  2. 頭を動かさないで、右上、左上など両目を壁の隅、4方向(フォアコーナーズ)へ順番に視線を動かしましょう。
  3. 各コーナーで3秒ほど止め、コーナーいっぱいに目の筋肉をストレッチします。
ビジョントレーニング-【準備運動】目のストレッチ

眼球運動の基礎トレーニング

  1. リラックスして座るか、立ちます。
  2. 両腕を肩幅よりやや広げ、肩の高さで掲げます。
  3. 親指を上向きにします。(あるいは2本の鉛筆やペン)
  4. まず右手の親指を両目で見ます。そこから左手の親指へ一気に視線を飛ばします。
  5. すぐに再び視線を右手の親指に一気に戻します。
  6. これを左右に20往復くらいなるべく早く、しかしリズム良く繰り返します。
  7. 水平だけでなく,一方を高くして斜めの眼球運動もおこないます
ビジョントレーニング-眼球運動の基礎トレーニング①
ビジョントレーニング-眼球運動の基礎トレーニング②

両目の協調運動の基礎トレーニング

用意するもの:口が直径5cmほどの小さめのガラスコップ

  1. AとBふたりが60cmぐらい離れて向き合って座ります。
  2. Aはコップを持ち、コップの口をBに向けた状態でなるべく腕を伸ばし、Bの周辺視野のどこかに掲げます。
  3. BはAの鼻を見つめながら(鼻から目を離さずに)、周辺視野のみに頼りながら片手の人差し指をゆっくりと差し出し、掲げられたコップの中に指を縁に触れることなく入れるようにします。このときBは、腕の動きを自分の頭の後ろからスタートさせることが重要です。つまり、自分の指も自分の視野の外から始動させるのです。
  4. うまくいかなかったら、もう1回やり直します。
  5. Aは再び違う箇所にコップを掲げ、同じことを繰り返します。
  6. 数回行ったら交代します。
ビジョントレーニング-両目の協調運動の基礎トレーニング

これは中心から離れた周辺部分の網膜を鍛えるトレーニングです。見ようとする目標物を目の中心に据えて意識をすべてそこに注ぐのではなく、意識をうまく分散することによって、より広範囲な視界の状況を同時に把握しようと心掛けることは、視覚情報を広く収集する上で大切です。

集中力を鍛えるトレーニング(視野を広げる)

下に描かれた番号を1から順に30まで、できるだけ早く見つけて×で消していきます。あるいは消さずに、目で追うだけでもOK。慣れてきたら、逆さやヨコ向きに置いたり、奇数だけ・偶数だけを探すなど、ルールを変えて行いましょう。

集中力を鍛えるトレーニング(視野を広げる)

記憶力・イメージを力アップさせるトレーニング

雑誌などを10秒間見てから、目をつぶって覚えているものを紙に書き出してみましょう。絵や記号を書いたカードを並べ、記憶してもよいでしょう。

記憶力・イメージを力アップさせるトレーニング

トレーニングはいかがでしたか? 普段あまり動かさない目の筋肉を動かすだけでも、きっと気持ちいいと感じたと思います。準備運動と1番目・2番目の基礎トレーニングは、1日2回を目標に行ってみてください。年齢に関係なく「視覚」は伸びますし、目をよく動かすことで、近視や老眼の進行を抑える一助にもなります。


編集:株式会社エアリーライム ライター:大崎由紀 イラスト:西田ヒロ子

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