【認知症を学ぶ】軽度認知障害(MCI)とは? その特徴と認知症との違い

軽度認知障害(MCI)とは? その特徴と認知症との違い

高齢者の4人に1人は、軽度認知障害(MCI)もしくは認知症であるといわれています。軽度認知障害(MCI)は認知症の前段階とされていますが、必ずしも認知症につながるわけではありません。ここでは、最も多いと考えられるアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)についてご紹介します。

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)とは

軽度認知障害(MCI)は認知症の一歩手前の状態で、MCI(Mild Cognitive Impairment)とも呼ばれます。認知症におけるもの忘れのような記憶障害が出るものの、症状はまだ軽く、正常な状態と認知症の中間といえます。

軽度認知障害(MCI)の背景には、認知機能障害を引き起こすさまざまな病気が存在します。なかでも多いのが、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)です。

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)とは

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)とは

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)は、アルツハイマー型認知症になる一歩手前の段階。これまでの研究で、軽度認知障害(MCI)の段階でも、アルツハイマー型認知症と同様、アルツハイマー病の原因である脳内アミロイドベータの蓄積が認められることがわかっています。

現在の医学界では、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)を放置すれば、いずれはアルツハイマー型認知症を発症すると考えられています。

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の臨床的な定義は、以下の通りです。

軽度認知障害(MCI)の臨床的な定義

  • 記憶障害の訴えが本人または家族から認められている
  • 客観的に1つ以上のブレインパフォーマンス(記憶や見当識など)の障害が認められる
  • 日常生活動作は正常
  • 認知症ではない

高齢者の13%以上がもつ軽度認知障害(MCI)

高齢者の13%以上がもつ軽度認知障害(MCI)

認知症および軽度認知障害(MCI)の患者数は、年々増加しています。厚生労働省の発表によれば、2012年の時点で、65歳以上の高齢者のうち、認知症患者の数は約462万人、軽度認知障害(MCI)をもつ高齢者は約400万人。この数字は、高齢者の約13%が軽度認知障害(MCI)だということを意味します(※1)。

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の患者数を示すデータは存在しません。ただし、アルツハイマー型認知症が認知症の約5~7割を占めることを考えると、多くの軽度認知障害(MCI)がアルツハイマー病によるものだと推測できます。

  • 1「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(平成23年度~平成24年度厚生労働科学研究費補助金認知症対策総合研究事業)

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の症状

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の症状

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の主な症状は、記憶障害。とくに、時間経過にともなった記憶障害が特徴的です。加齢によるもの忘れとは異なり、年齢に見合わないほど直近の出来事を覚えておくことができなくなります。

生活の中での言動例

  • 少し前に聞いたことを忘れて、何度も確認を繰り返す
  • 世間を騒がせた最近の大きなニュースの内容の記憶があいまい
  • 数週間前の特別なイベントの内容があいまい(誰の結婚式、どこで開催されたなど)
  • 少し前のことでも忘れてしまうことがよくある

など

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)とアルツハイマー型認知症の違い

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)は、アルツハイマー型認知症の前段階ともいえます。では、2つにはどんな違いがあるのでしょうか。

大きな違いは身の回りのことをできるかどうか

大きな違いは身の回りのことをできるかどうか

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)とアルツハイマー型認知症の大きな違いは、日常生活において、身の回りのことを自分でできるかどうかにあります。

人は、生活を送るうえでさまざまな動作をします。「ADL(Activities of Daily Living)」と呼ばれるそれらの動作は、「基本的ADL」(食事や入浴、トイレ、着替えといった最低限必要となる動作)と「手段的ADL」(買い物や家事、金銭管理など何かをするための少々複雑な動作)に分類されます。

アルツハイマー型認知症になると、どちらのADLも正常にできなくなり、買い物はおろか自身の身の回りのことをするのも難しくなります。一方、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の場合、「基本的ADL」は正常ですが、記憶障害により家事や買い物といった「手段的ADL」に影響があらわれます。

そのため、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)は、一般的には「日常生活に大きな支障はない程度」と定義されます。しかし、家族や周囲の人の介護や介助が必要ないとはいえ、やはり年相応と言えないほどの記憶障害があり、多少なりとも生活に影響を及ぼすはずです。

もう一つの違いは発症後の経過

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)とアルツハイマー型認知症とは、発症後の経過も異なります。

アルツハイマー型認知症は、現在の医学では完全に治すことはできません。症状の進行を遅らせるための治療はありますが、ゆっくりと進行はしていきます。

一方のアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)は、適切な治療介入ができれば、認知症の発症を遅らせることが可能だとされています。治療・改善方法については、運動や食事、脳トレーニング、薬物療法など、さまざまな研究がなされており、なかには改善がみられたというケースもあります。

アルツハイマー病によるMCIは早期発見が重要

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)は、発症後、数年でアルツハイマー型認知症に移行するといわれています。しかし、早期に発見し、適切な治療を行うことで、発症を遅らせることが可能です。

将来の認知症発症を予防するために

将来の認知症発症を予防するために

アルツハイマー病の原因とされるアミロイドベータは、アルツハイマー型認知症を発症する20年ほど前から脳に蓄積され始めているといわれます。また、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の段階でも、相当に蓄積されているそうです。

とはいえ、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)と診断されても、アルツハイマー型認知症を発症するまでの速度は人それぞれ。適切な対策や治療により発症を遅らせられる可能性があるため、将来の認知症発症を予防するには、軽度認知障害(MCI)の早期発見が何よりも重要です。アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の対策・治療は、早期であればあるほど効果が高いとされているからです。

早期発見につながるのは、ちょっとした変化に敏感になること。そのためには、高齢者ご本人はもちろん、家族など周囲の人も、軽度認知障害(MCI)について知識を持っておくことが大切です。

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の予兆

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の予兆は、認知症ほど状態の変化が顕著ではないため、見過ごされてしまうケースも少なくありません。早期発見のためにも、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)や認知症の初期段階で見られる異変やサインを把握しておきましょう。そして、疑いがあればすぐに専門家や医療機関に相談してみましょう。

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の予兆

外出時に見られるサイン

認知症、または軽度認知障害(MCI)になると、ブレインパフォーマンスが落ち、周りの物事への興味や意欲が低下します。その結果、外出時でも服装に気を遣わなくなる、外出すること自体に消極的になるといった変化が見られます。

会話で見られるサイン

アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)の人は、時間経過にともなう記憶の低下が認められます。時間が経つと、記憶を思い出すことができなくなっていくのです。例えば、最近起こったニュースや数週間前に行った旅行について、そのトピック自体は覚えていても、「どこ」「いつ」といった一歩踏み込んだ内容を思い出すことができなくなります。

炊事で見られるサイン

認知症、または軽度認知障害(MCI)になると、ブレインパフォーマンスの1つである遂行力も下がります。順序立てて物事を行うことが難しくなり、同時に2つの動作ができなくなったり、自発的に動けなくなったりします。炊事ひとつにおいても、鍋を焦がす、水道の水を出しっぱなしにしてしまう、凝った料理が作れなくなるといったサインが現れます。

仕事で見られるサイン

記憶力や遂行力といったブレインパフォーマンスが低下することで、仕事でのミスが多くなります。何度も同じことを質問して、周囲を苛立たせることもあるでしょう。意欲の低下により、新しい機械の使い方や新しい仕事について覚えようとしなくなるケースもあります。


出典:相談e-65
編集:有馬ゆえ、水上歩美(ノオト)

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