【認知症を学ぶ】認知症になる前に準備しておきたいこと

2025年には5人に1人が認知症になるといわれる時代。いつ自分が認知症になるかわからないのが現実です。もし認知症を発症しても自分、そして家族が安心して暮らせるように、今から準備しておくべきことについて紹介します。

将来、自分の意思を周囲に伝えるために

今から、自分について、財産・相続について、将来の生活に関する希望について、まとめておきましょう。しっかり考えられるうちに備えておけば、もし認知症を発症しても、自分や家族が自らの意思を確認することができます。

まず自分について記しましょう

まず自分について記しましょう

自分自身や親戚関係、友人関係、インターネットに関しての情報をまとめておきましょう。

自分の基本情報をまとめる

生年月日や趣味、自分史、現在かかっている病気や病院名、保険証や年金手帳の番号と保管場所など、自分自身のことを知ってもらうために必要な情報をまとめておきましょう。

親戚関係や友人関係の情報をリスト化

親族や友人たちとの関係と連絡先をリスト化しておきましょう。家族が把握していない、あなたの大切な人がいるかもしれません。

パソコンやネット上の情報を整理する

SNSやブログなど、インターネット経由の私的なコミュニティは、近親者にも見えづらいもの。自分以外には見られたくない情報は、削除しておくといいでしょう。メールやSNS、ブログ、オンライン口座などのアカウントを整理したり、いざというときに家族がアカウント情報をわかるようにしておいたりすることも大切です。

<check!>近所の人と交流を深めるのも大切です

いざというときに頼りになるのは、遠くの家族より近所の友だったりするもの。「困ったときはお互いさま」の気持ちで、地域のコミュニティでの暮らしを楽しみましょう。

資産について見積もり、共有しましょう

資産について見積もり、共有しましょう

自分の持っている資産についてまとめ、残す方法を家族などと共有しておきましょう。

財産目録を作成する

預貯金の口座、有価証券や土地などの資産を目録にしましょう。資産を把握しておくことは、相続を考える上でも、将来の生活を考える上でも重要です。

印鑑・通帳を整理する

預貯金の口座を必要最低限の数に整理しましょう。印鑑や通帳に関する情報を家族などに共有し、将来の財産管理がしやすい環境を整えておくのも大切です。

生前贈与・相続について考える

相続の方針を決め、税制を踏まえて計画的に財産を移していきましょう。なお、遺言に法的効力をもたせるためには、法律が定めた一定の条件を満たす必要があります。

お葬式、お墓について希望をまとめる

宗教・宗派やお葬式の場所、規模など、お葬式とお墓などの希望をまとめておきましょう。

<check!>引き出し限度額を変更しておきましょう

認知症による記憶障害では、ATMなどでお金を引き出したものの、そのこと自体を忘れて紛失してしまうこともあります。

現金引き出し限度額を日常生活に必要な10万円程度に設定する、普段買い物に使うクレジットカードの利用明細は家族がチェックしやすいよう郵送にしておくなど、認知症の発症前から備えておきたいものです。

もしものときに望む生活を示しておきましょう

もしものときに望む生活を示しておきましょう

家族や周囲の人たちに、できるだけ迷惑をかけたくない。でも、最期まで自分らしい生活を送りたい――。だれもがそう願うもの。そのためには、自分の代わりの人が何かを判断する際のヒントをまとめておくことが必要です。

自分の趣味について記録する

趣味や好きなことを記録しておきましょう。自分での意思表示が難しくなっても、記録内容を踏まえた生活支援につなげてもらいやすくなります。

介護や治療の方針について希望を示す

どこで最期を迎えたいか、ターミナル期の医療はどうするか、希望を示しておきましょう。本人の希望がわからないと、特に生死にかかわる医療について判断する際、一任された人の重荷にもなりかねません。

生活費についてまとめる

自分の望む生活の在り方を示すとともに、その生活費用の捻出方法まで整理しておくと、スマートです。万が一、認知症を発症した場合の金銭管理は、信頼できる第三者に依頼する方法もあります。

<check!>もしものときの一時費用に家族カード

ご本人がお金を管理することが難しくなったとき、一時的な対応に役立つのが、銀行の「家族カード」(代理人カード)です。

キャッシュカード機能付きなので、限度額以内で口座から引き出しができます。家族カードを発行できるのは、口座をもっている本人だけ。ただし、悪用される可能性もあるため、信頼できる家族がいる場合に限定されます。

<check!>パソコンやスマホのメモ機能を活用しよう

認知症になると、電話で話した内容、手書きでメモをした内容を忘れてしまうことがあります。また、文字を書く細かい動きも難しくなります。

そのため、パソコン、スマートフォンで使える操作の簡単なメモ機能、スケジュール帳機能を活用し、約束を思い出せるように工夫している人もいます。事前にそれらの操作に慣れておくことも、一つの備えといえるかもしれません。

大切な人へメッセージを伝える

大切な人へメッセージを伝える

大切な人へのメッセージは、きちんと伝えておきましょう。老いや死を前提とした話題は、なかなかふれづらいかもしれません。しかし、財産や自分の望む暮らしについては、機会を設け、きちんと家族と話し合っておきましょう。

ビデオレターで伝える

近年、遺言や手紙によるメッセージに加えて、ビデオレターがよく活用されるようになっています。ありし日の姿とともに受け取るメッセージは、家族にとって何にも増して嬉しいものかもしれません。

エンディングノートの活用を

「エンディングノート」とは、自らのもしものときに備えて、伝えておきたい事柄、残しておきたい情報を整理してまとめられるノートのこと。多くのメーカーから発売されており、その形式もさまざま。まずは、手に取って眺めてみてはいかがでしょうか。

自分の支援者について考えてみましょう

認知症になると、自分自身に関するさまざまな判断を自ら行うことが難しくなります。そうなったときに自分らしい選択をするために、手助けしてくれる未来の支援者について考えておきましょう。

信頼できる代理人を指定する「成年後見制度」

成年後見制度(※)の一つである任意後見制度は、判断力が不十分な人を保護し、支援する制度。認知症などで物事の判断が難しくなったときに備え、信頼できる代理人と、その人に依頼する支援内容を事前に定めておくことができます。具体的には、ご本人の財産の管理や介護サービスの契約などを代わって行うなどのサポート業務を委任します。

  • 成年後見制度には、判断が難しくなったあとに家庭裁判所により支援者を決定するケース(法定後見制度)もあります。

信頼できる代理人を指定する「成年後見制度」

今、受けられる支援の例

しっかりと物事を判断する能力はあるけれど、一人きりでさまざまなことを決めるのは不安かもしれません。そんな場合は、将来の備えについてともに考える支援者を立てるのもいいでしょう。

弁護士などが行う財産管理委任契約

今から亡くなった後のことまで備えたい人には、「財産管理委任契約」という方法があります。信頼できる弁護士などと、死後の財産管理や身の回りの事務を委任する契約を結びます。

成年後見制度と異なる点は、認知症によって判断力が低下していなくても利用できる点、そして亡くなった後の葬儀やお墓の扱いなども依頼できる点。任意後見制度の契約と併用することもできます。

日常生活自立支援事業

日常的な生活を送るうえでの支援を受けたいならば、社会福祉協議会が実施している「日常生活自立支援事業」を利用する方法があります。福祉サービスの利用を援助したり、必要な日常生活上の金銭管理などを行ったりして、生活をサポートしてくれます。

法人に後見人を依頼する「法人後見」

後見人を担うのは、人に限りません。「法人後見」といって、社会福祉協議会や権利擁護に携わるNPO法人、専門職団体などの法人が後見人になるケースもあります。

法人内の専門職を交えたチームで支援策を多角的に検討してくれるほか、担当者に何かあっても継続的にサポートしてくれる安心感があります。一つの選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

財産の残し方を示しておきましょう

自分の死後、財産をどのように残すか考え、また公式な書面などで示しておきましょう。

自らの死後について遺言を残す

自らの死後について遺言を残す

死後、自分の財産を誰にどう分配するかなどを記した「遺言」は、相続時のトラブルを避ける備えの一つ。ただし、遺言に法的な効力を持たせるには、多くのハードルがあります。法律の専門家に相談して作成するなど、自分の意思をしっかり反映できるよう準備しておきましょう。

遺言に法的効力を持たせたい場合、法律に従った形で書面として残しておく必要があります。また、その内容も、法律に定められた事項のみに限られます。

遺言に記載して法的な効力を持つ項目

  • 遺産相続に関すること
  • 遺産分割方法の指定または指定の委託
  • 相続財産の処分(遺贈)に関すること
  • 内縁の妻と子に関すること
  • 遺言の執行に関すること
  • その他、遺産分割の禁止、遺留分減殺方法の指定など

一般的な遺言書の種類

一般的に、遺言書には2つの種類があります。

(1)自筆証書遺言

遺言者本人が作成できる遺言書です。自分で作成できる手軽さがある一方で、法的な不備があれば無効になるといったリスクもあります。自宅に保管していた場合は、遺言者の死後、家庭裁判所に持参して、その遺言書の状態などを確認する手続き(検認)が必要です。

紛失、破棄、隠匿、改ざんなどのトラブルを避けるだめに、法務局での保管制度を利用するという方法もあります。多少の費用はかかりますが、安全に保管されるほか、相続時の家庭裁判所での検認も不必要になります。

<check!>遺言書作成時の失敗例

・パソコンで書いてしまった

遺言書は、自筆である必要があります。ただし財産目録については、要件を満たせば、パソコンなど自筆以外の方法でも認められます。

・作成日を入れなかった

作成日時を特定できない遺言書は法的に無効となります。

・夫婦で一枚に遺言書をまとめた

遺言は1人1枚ずつ作成する必要があります。

・書き間違えて不明瞭な内容になった

不明瞭な内容は認められません。また修正方法にもルールがあります。

<check!>自筆証書遺言の保管制度

2020年7月から、自筆証書遺言のリスクを低くするべく、法務局での補完制度がはじまりました。自筆証書遺言に申込書、本人確認書類などを添え、自宅などを管轄している遺言書保管所に、本人が提出。法務局で法律上の要件を満たすかどうかの確認が行われたのち、保管されます。相続時は、相続人が遺言書保管所で遺言書の交付を請求します。

(2)公正証書遺言

遺言者が、公証人の面前で遺言の内容を口授し、公証人が公正証書遺言として作成します。公証人が事前に確認した書類なので、相続時の家庭裁判所での検認の手続きはありません。費用はかかりますが、公証役場に保管できる点でも安心です。

スムーズに財産の管理権を渡せる「信託」

信託とは、その人の財産を信頼できる人に託し、その人の定めた目的に沿って、金銭や土地などの財産を管理・処分してもらう制度です。

成年後見制度を利用したり、遺言が執行されたりするまでには、事務手続きなどの時間が必要。そのため、認知症発症後などに、後見人や子どもが当面の費用を思うように工面できないケースもあります。信託制度を活用すれば、事前に後見人、子どもなどに財産を移すことができるため、こうしたトラブルの予防にもつながります。

信託は、財産を託す「委託者」、託された財産を管理などする「受託者」、財産野管理によって利益を受ける「受益者」で構成されます。

家族、親族に財産を託す「家族信託」

家族、親族に財産を託す「家族信託」

子どもなど、親子関係、親族関係である相手に資産の管理・処分を信託するのが「家族信託」です。上の図のように、親である自分が子どもに財産を託す場合は、親側が「委託者」と「受益者」を兼ねるケースが少なくありません。

亡くなる前と後で、財産の管理方法を変えることもできます。例えば、元気なうちは自分の老後の生活・介護などに必要な一定資金を毎月、子どもに振り込むことにしておき、亡くなったあとは、子どもがすぐに財産管理・処分を行えるようにしておくなど、カスタマイズが可能です。


出典:相談e-65

編集:有馬ゆえ、水上歩美(ノオト)

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