【シリーズ】プロフェッショナルのパフォーマンス論 Vol.3 井出有希さん 第2回

悩みをチャンスに変える決断力と行動力(全3回)
第2回 共同代表として、マルチタスクとどう向き合う?
2017年に、栄養士や調理師などホームシェフのサブスクリプションサービスを提供する「株式会社シェアダイン」を、共同代表である飯田陽狩さんと立ち上げた井出有希さん。連載第1回では、起業に至るまでの経緯と決断への原動力についてうかがいました。第2回は、「共同代表として、マルチタスクとどう向き合っているか」について語っていただきました。
社員時代とは全く違う、マルチタスクの重さ
井出さんは、東京大学経済学部卒業後、大手外資系証券会社、資産運用会社を経て、外資系コンサルティング会社のアナリストとして活躍した経歴を持ちます。
二人の子どもを出産後も、時短勤務など会社の制度を利用して、仕事と育児と両立させながら、成果を出し続けてきました。
「会社という組織に所属し、“一会社員”として仕事の内容がある程度決まっていたので、マルチタスクに追われながらも、今思えば、自分がするべきことに優先順位をつけやすかったと思います」
しかし、「当たり前なのですが、経営者になって初めて、これまでとは全く違うマルチタスクと向き合わなければならないことを実感しました」という井出さん。
「私たちのようなスタートアップ企業の経営者は、こういう言い方があてはまるのかどうかわからないですけど、事業が軌道にのるまでは“なんでもやさん”でなくてはいけません。資金調達、ホームシェフのリクルーティング、事業提携したい得意先への営業など、ジャンルが異なりながらもひとつひとつが非常に重要なタスクを、同時にこなさなければならない。資金調達がうまくいかない時などは、プレッシャーに押しつぶされそうになりました」
相棒の存在が、マルチタスク管理の助けに
そんな中で、自分のパフォーマンスを発揮し、経営を軌道に乗せるために活かすことができたのが、アナリスト時代の経験だという井出さん。
「アナリストは、情報の分析なども行いますが、まずは全体を把握し、将来のイメージを描くことが大切です。資金調達で四苦八苦していたときも、『ここを乗り越えれば、こうなる』と、具体的に進む先のイメージをしていたから続けられたという部分もありますね」
さらに、シェアダインには飯田さんという共同代表がいます。互いの仕事の状況を把握して、どちらかが煮詰まっていたら、助け舟を出し合います。
「仕事の内容をよくわかっている相棒から客観的な意見をもらえることで、頭の中が整理され、忙しさに流されたり、仕事のステップを間違えてしまうことが減りました」
そして、会社全体としての重要なタスクが出てきたら、まずはそれぞれが“宿題”として持ち帰り、日を改めてディスカッション。
「『この件は3日後に打ち合わせしましょう』など、日にちを具体的に決めます。タスクを置き去りにし、ずるずると解決を先延ばしにしないように心がけることで、私自身のパフォーマンスも上がり、事業のスピードアップや活性化につながると思っています」
しかし、飯田さんとは議論がヒートアップして、時には感情的な言葉を発してしまうことも。
「そんなときは、意識的にひと呼吸おくようにしています。そして、私が悪かったと思ったら、とにかくすぐにあやまります。同じ船に乗る仲間なので、言いたいことを言い合ったあとはクールダウンしてフラットな状態に戻り、船が“転覆”しないようにしてかないと(笑)。言いたいことをがまんしてストレスをためるよりも、気持ちをはきだすほうが、もやもやしていた頭もすっきりして、脳のパフォーマンスを低下させることがないように思います」
スタッフが増えたぶん、力を束ねて
2018年5月のサービスローンチ後、利用者からの評判は上々。
想定していた子育て世代に限らず、ダイエット食、健康的な食事など、各家庭のライフステージに合わせての利用も目立ったといいます。
一方で、
「シェフと利用者をつなぐマッチングビジネスなので、利用希望者の数にシェフが追いつかないなど、需要と供給のバランスをとるのが難しい」
「シェフを指定できるが、いわゆる“人気シェフ”と他のシェフとのばらつきがある」
など、課題も出てきました。
起業家としてマルチタスクと向き合う日々が続きますが、「料理の専門学校と提携してシェフの掘り起こしに力を入れ、ユーザーが継続的に安定して利用できる仕組みを作っていきたいですね。シェフ同士の交流会も企画し、お互いの得意分野を学び合うなど、課題解決に向け、ひとつひとつ取り組んでいきたいと思います」
創業当初からスタッフが増え、インターンも含めると、総勢15名になったという同社。
「人数が増えたぶん、これまでの自分たちのキャリアにはない専門性を持ったスタッフが集まっています。多様な知識や経験を掛け合わせることで、皆さんに愛されるサービスを提供していきたいですね」
編集:株式会社エアリーライム ライター:長島ともこ カメラマン:新山貴一
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