【連載】脳にしみついた「悪習慣」を「良い習慣」に変える10のステップ vol.2

古代ギリシャの哲学者、アリストテレスはこう言っています。
「人は習慣によってつくられる。優れた結果は一時的な行動ではなく、習慣から生まれる」
脳は本来、一定期間続けたことは「習慣」として覚えるもの。しかし、悪い習慣ほど簡単に身に付き、良い習慣は三日坊主で終わってしまうのが困ったところです。ずっとやめたくてもやめられなかった悪い習慣を手放して、なりたい自分に近づく良い習慣を身につけましょう。今回からいよいよ実践編。早速今日から、第1回目に書き出した「理想の1日」に向け行動開始です!
習慣化のためにクリアしたい3つのハードル
「資格取得のために勉強をする」「メールチェックの頻度を減らす」といった“行動”が習慣として定着するまでにかかる期間は、およそ1か月。それまでには、「反発期(スタート~7日)」「不安定期(8日~21日)」「倦怠期(22日~30日)」という3つの段階があると古川さんは言います。
「私がコンサルティングしているクライアントに『いつ挫折したか』を調査したところ、最もつまずいた人が多かった時期が、はじめの7日間の『反発期』で42%。次に挫折したのは『不安定期』で40%。最後の9日間の『倦怠期』の挫折率は18%でした。つまり、はじめの段階をどう乗り越えるかが非常に重要になってきます」
また古川さんによると、それぞれの段階によって、挫折しないための勘どころが異なるのだそう。具体的に見て行きましょう。
STEP4 【スタート~7日目】 小さく始めよう!
スタートから7日目までの「反発期」は、脳がいつもどおりに行動しようと抵抗する力が強いため、挫折して「三日坊主」になってしまいがち。逆に言えば、この時期さえ乗り越えることができれば「習慣化」は半分成功したようなものと古川さんは言います。
「反発期を乗り切るのに最も効果的なのは『ベビーステップ』、つまり小さく始めること。例えば、英語学習の習慣化を目指すのであれば、『15分間Podcastを聞き流すだけ』といった軽い行動から始め、徐々に時間を伸ばして勉強の種類を増やしていくと、成功する確率が高くなります」
ベビーステップの目安は、「コンディションが良くないときでもできるくらい」だそう。最初は物足りなさを感じるかもしれませんが、8日目以降の不安定期以降にハードルを上げれば問題ありません。
STEP5 【スタート~7日目】 行動を「見える化」しよう
反発期には、とにかく毎日続けることが大切。ベビーステップを設定したら、記録をつけて自分の行動を把握しましょう。
「記録をすることで、事実を客観的に見ることが出来、自己管理意識が高まります。よい習慣を続けたり、悪い習慣をやめるモチベーションにもつながったりします。『記録』というと面倒に感じるかもしれませんが、記録する内容は、できた日は『〇』、できなかった日は『×』だけでもOK。記録媒体も、手帳やスマホなどで十分です」
「何キロウォーキングした」といったように成果や努力を数値化して記録できるとベター。また、「朝のうちに勉強を終わらせると気分よく過ごせる」といったように、毎日の行動と感情をセットで書いておくと、モチベーションアップにつながるそうですよ。
STEP6 【 8日~21日目】 「聖域」を確保して行動をパターン化しよう
不安定期である「8日~21日目」は、予定通り進まないことでモチベーションが下がり、挫折することが多い時期。この時期を乗り越えるためには、身につけたい行動を生活リズムに組み込み「パターン化」して、自然に継続できる仕組みをつくることが大切だと古川さん。
「行動をパターン化するためには、時間や内容、場所をあらかじめ決めておきます。英語学習を習慣化したいなら、『始業前のカフェ』など、仕事や私生活の用事に振り回されにくい時間帯や場所を『聖域』として確保すると、習慣化しやすくなります。通勤時や入浴時などに組み込めば、習慣化するための時間を新たに設ける必要がありませんね」
STEP7【 8日~21日目】 「イレギュラー」にも慌てない! 例外ルールを
「帰宅途中にカフェで30分勉強する」とパターン化しても、予期せぬ残業や飲み会などで予定通り取り組めない日もあるでしょう。イレギュラーな出来事のせいで習慣化したい行動をさぼるようになると、自己嫌悪を感じるなど、やる気が失せてしまいがち。
そんな時のために、あらかじめ「例外ルール」を設けてイレギュラーな出来事に対応できるようにしておくといいそうです。
「例えば、『カフェに寄れない時は、電車か自宅でテキストを1ページだけ読む』といった例外ルールを設けておけば、『今日もクリアできた』という達成感が得られます」
STEP8【 8日~21日目】 モチベーションスイッチをリセット!
やる気を継続させるためには、自分でやる気を高めるスイッチを押すことも大切。参考までに、「アメ系」と「ムチ系」のスイッチを、それぞれ6つずつ古川さんに挙げていただきました。モチベーションが下がったときは、下記から「これならモチベーションが上がるかも」というものを見つけ、試してみましょう。
アメ系スイッチ(快感)
ご褒美を与える/ほめられる環境をつくる/遊び心で楽しく行動する/理想を設定する/小さな儀式を行う/行動を邪魔する障害を取り除き、ストレスを軽減する
ムチ系スイッチ(危機感)
お金を投資し、挫折すると損する環境をつくる/仲間をつくり、甘えを許さない/みんなに宣言する/罰ゲームを設定する/目標を設定して達成意欲を引き出す/他人との約束、時間制限など強制力で追い込む
STEP9【 22日~30日目】 変化と刺激でマンネリ解消
「『不安定期』を乗り越えれば、行動習慣化の8割は成功したようなもの。しかし、最後に訪れる倦怠期は、マンネリ化を感じて挫折しやすい時期でもあるので、もうひと踏ん張りが必要です」
倦怠期を乗り越えるためには、これまでの行動に変化や刺激を与えてみましょう。例えば、勉強するカフェの店舗を変えてみる、独りで勉強していたのであれば、仲間と一緒に勉強するなどが有効だそう。
「ただし、あまりにもルールやパターンを変えすぎて、今まで築いてきたリズムを崩さないように注意しましょう」
STEP10【 22日~30日目】 次の目標に向けて新たな目標をつくろう
「最後のステップは、倦怠期のうちに、次に習慣化したいことをプランニングすること。現在取り組んでいることが「通過点」に感じられ、マンネリ化に苦しむ倦怠期の道のりも、楽に乗り越えられるようになりますよ」
次に取り組む習慣を何にするか選ぶ時は、最終目標から逆算して、何を始めればいいか、何をやめるべきかを考えて。候補をピックアップしたら、自分が理想とする人生や目標の達成に向けて、効果の高そうなものから取り組んでくださいと古川さん。
「習慣化には、『ここまでやったら終了』という明確なゴールラインはありません。まずは1つずつ、3つの行動を習慣化することを達成してみましょう。その頃には、どんなことでも自由自在に習慣化できる力が身についているはずです」
次回は、成功者が実際にどのようにいい習慣を身につけ、悪い習慣を手放したのか、そのプロセスをご紹介します!
編集:株式会社エアリーライム ライター:藤森優香
歩数管理して、運動習慣を身につけよう!

記録した歩数などは自動でスコアリングされ、ブレインパフォーマンスによい健康習慣を持続しているかを確認できます。
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