【連載】脳力がUPする食事術 Vol.1 食事を変えると自分が変わる!

食事を変えると自分が変わる!

「アスリートもビジネスマンも、取るべき食事は一緒」。こう話すのはスポーツ栄養アドバイザーの石川三知さん。フィギュアスケートの荒川静香さんや髙橋大輔さん、短距離走の末續慎吾さんら多くのトップアスリートの栄養指導にあたってきた専門家だからこそわかる、脳と体のコンディションUPにつながる食事術とは――。

 

今の自分は過去に食べたものでできている

約37兆個の細胞の集合体である私たちの体。

その細胞は一つひとつ勝手に動いているわけではなく、DNAに刻まれたシナリオに基づいて組織となり、心臓や胃、肺といった臓器や器官を形成しています。

「こうした組織や臓器の活動を支えているのが、食べものに含まれるさまざまな栄養素。そして、それらをつなぐ脳(中枢神経)や末梢神経、運動神経、自律神経もまた、食べものから栄養を得ています」

ここからわかるのは、「ヒトは食べたものでできており、また食べたものがヒトを変えていく」ということ。

「〝何を、どう食べるのか〟ということを専門的には『食行動』といいますが、食行動は〝よい傾向〟と〝残念な傾向〟の2つに分けられます。よい傾向の食行動は健康維持やよいパフォーマンスに、反対に残念な傾向は体調不良や悪いパフォーマンスにつながると考えられます」

もしあなたが今の心と体の調子がよければ、それは以前の自分が少なからず〝よい傾向〟の食行動をしていたからかもしれません。そして、逆もまたしかり、ということです。

コントロールできる朝食をおろそかにしない

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「特に病気を抱えているわけではないのにもかかわらず、“最近、集中力がない”“すぐに疲れるし、眠れない”といった不調を抱えている人、あるいは“もっとパワーアップしたい”“アグレッシブに動きたい”という意欲を持っている人は、一度食事を見直してみると、何か発見があるかもしれません」と石川さんは話します。

では、何から始めればいいのか――。その糸口は朝にあるようです。

「まずは、朝食を取ることから始めるとよいと思います。なぜ朝食なのか。それは1日3食のうち仕事や用事の影響を最も受けにくく、セルフコントロール、セルフマネジメントをしやすいからです」

昔から言われているように、朝食を取ることのメリットは少なくありません。

「例えば、朝食を取ると、脳の活動に必要な適度なブドウ糖や、脳の働きを助けるビタミンB群などの栄養素が供給されます。食事を取ることで体温が上がり、これからの活動に備えることもできます」

脳が「その気」になったときに備える

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「朝に食事をすること」の重要性は、別の視点からもいえるとのこと。

石川さんはそれを、フィギュアスケートの髙橋大輔さんから教わったといいます。

トップアスリートの場合、大きなタイトルを取った後や大会に向けた練習で大ケガをした後、突然、気力を失って何も手に付かなくなる状態に陥ることがあります。いわゆる「バーンアウト」です。ところが、そんな状態のときでも髙橋さんは必ず日々の食事はきちんと取り続けたそうです。

「気持ちが向いてきたときに体にエネルギーが十分に蓄えられていなかったら、結局、次につながりにくくなります。それに彼は気付いていたから、どんな状況でも食事だけは取り、いつでも動ける体にしていたのだと思います」

これはビジネスにおいても同じ。

仕事でミスをしたり、人間関係がうまくいかなかったりと、気持ちが後ろに向くことは誰にでもあります。そのときに「食べる気力がないから」と朝食は抜いてしまうか、明日の自分のために何かを口にするか、そこで大きく違ってくるといえるのです。

遅い夕食では睡眠のジャマをしないものを

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朝食の問題がクリアできたら、次にしたいのが夜の食事の見直しです。

朝と違って、食事時間や食事内容が自分では決めらない状況が多い夕食では、食べる時間やシチュエーションに関わらず、「眠りを妨げない食事」を基本としたほうがよいとのことです。

特に残業後の夕食は、「胃に負担がかからない、消化のよいもの」を心がけてほしいと石川さん。具体的には、脂肪や油が少ない温かい料理を、少量取るといいそうです。

「胃に食べものが残ったまま眠ると、睡眠中に消化を行わざるを得ません。その結果、睡眠の質が下がることがあるのです」

自分で買って料理することで、食事への意識が変わる

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休日、時間があったら試したいのが「買いもの」と「料理」。

「アスリートに共通するのは、〝考えて、選択して、決断する〟といった作業に秀でているところ。実はこうした思考のトレーニングは日々行われていて、食事のなかでもやっています」

トップアスリートは海外遠征中を自炊で乗り切ることも多いため、栄養バランスや料理に対しても高い意識を持つことが求められます。

その重要性は、日中の高いパフォーマンスを求められるビジネスパーソンも同じです。家族でスーパーに行ってもかごを持つだけだったり、コンビニやスーパーの惣菜を適当に買うだけだったり、外食しかしなかったり……。そういう人こそ、一度は食材を選びや料理に関わってほしいと、石川さん。

「家族や自分の健康や笑顔のために、どんな食材を選び、どんな料理にすればよいのか。実際に体験することで気付きが生まれ、食への関心につながります。このとき、ぜひご家族に協力していただきたいのは、慣れない買いものや料理に挑戦している人を温かく見守ること。つい手を出したくなる気持ちをじっと抑えて、じっと待つ。忍耐勝負です(笑)」

次回は、朝食の取り方について詳しくご紹介します。

石川三知(いしかわみち)

  • 石川三知(いしかわみち)
    スポーツ栄養アドバイザー Office LAC-U代表 Body Refining Planner
    病態栄養相談に携わった後、東京工業大学勤務を経て、スポーツ栄養指導を開始。これまでにサポートしたアスリートは、スピードスケート岡崎朋美選手、陸上男子短距離日本代表チーム、陸上短距離末續慎吾選手、サニブラウンハキーム選手、日本代表フェアリージャパン、全日本男子バレーボールチーム、フィギュアスケート荒川静香選手・髙橋大輔選手など多数。現在は、山梨学院大学陸上部、東海大仰星高校ラグビー部、プロサッカー選手、Jリーガー選手、競泳選手を始めとする多くのトップアスリートの栄養指導を行う。2010年~2014年、JOC強化スタッフ(医科学)就任。山梨学院大学スポーツ科学部兼任講師、八王子スポーツ整形外科栄養管理部門スタッフ、中央大学商学部兼任講師。著書には『トップアスリートに学ぶ「勝負食!」実践編』(講談社エディトリアル)、『21時以降に食べても太らない遅夜ごはん』(マイナビ)、『スポーツ選手のための食事400』(学研パブリック)、『脳を操る食事術』(SBクリエイティブ)など。“脳を操る食事術”

編集:株式会社エアリーライム ライター:鈴木理香子

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